不適切な概念設計による潜在コスト。

製品設計は、複数の部門にまたがる知識集約的な作業です。グローバルな競争が激しく、移り変わりの早い今日の市場で製造メーカーが生き残るために、その重要性はますます高まっています。

革新的な新製品を設計・製造する必要性が高まっている背景には、今日の消費者がより多様性に富んだ製品を求めていることがあります。完璧な概念設計フェーズを適切に実施し、多くの概念設計を検討することは、新製品が市場で大成功を収めるための鍵です。

このステージにおいて設計者は、多くのスケッチを紙上だけでなく、簡易 3D モデルでも作成することがよくあります。スケッチの価値は、スケッチやモデル単体ではそれほど高くありません。しかし多数のアイデアやできるだけ多くの選択肢を検討したり、それぞれの新しい選択肢から新しい問題を提起したりする認識プロセスでは、その価値はより高くなります。

概念設計プロセスでは、製品案の用途、挙動、外観に関する複数のアイデアや概念を統合し、それを参考にして製品案の概要を把握します。提案されたアイデア/概念の創造にかかわる設計者は、製品の審美性と機能性の両方を定義します。そして、製品はどのようなユーザーを対象にするのか、どのようなメリットが想定されるのか、市場ではどのような位置付けになるのか、競合企業の製品との違いは何か、という検討をするのです。

概念設計フェーズでは、また、複数のアイデアを洗い出し、設計要件に対して比較検討します。さらに、最良の概念を決定して次工程の詳細設計に移行するまで、取捨選択を行います。通常、設計のこの段階での問題点は、外部要因によって時間的な余裕が少なくなることです。その結果、チームは十分な数の代替の概念を評価せずに、妥当な概念を急いで選定します。つまり、「それで十分妥当」という心理が働きます。設計がいったん確定されて、設計サイクルに移行されると、概念を評価する 2 回目の機会がないこともあるでしょう。

「概念設計のトレンド」というテーマで PTC が実施した最近の調査で、参加者は「概念設計開発のプロセスが、時間制約によって頻繁に悪影響を受けている」と回答しています。回答者 214 人のうちの 60% は、それぞれの企業の「概念設計プロセスが通常、スケジュールの問題のために切り上げられている」ことに、「同意」、もしくは「かなり同意」しました。概念設計の段階で検討する設計の代替案を増やすのは、企業にとって大きなメリットになると考えるかどうかを尋ねられたとき、大部分 (80%) が「はい」と回答しました。

製造メーカーは、十分に検討されていない概念アイデアを収集する必要もあります。それは通常、より良いアイデアを表す概念であることが多いからです。PTC によるアンケートによると、回答者の 90% は「採用されなかったアイデアを収集することも同様に重要である」と答えています。しかし、「これらの見送られた概念アイデアを一元化して管理するプロセスが整備されている」と答えたのは、回答者の 34% のみでした。

開発対象に不適切な概念を選択することは、市場シェアの損失、顧客の不満、コストと時間の浪費のすべての観点から評価して、重大なコスト増加につながる場合があります。完全な概念設計フェーズの実践によって、製造メーカーは、間違ったプロジェクト開始、間違った製品位置付け、劣悪な戦略、間違った人への売り込みを避けることができます。提案された設計を十分に綿密に調べることにより、設計チームはまた、不適切な設計の推進を回避することもできます。回避しないと、後工程で変更が発生した際、サイクル タイムの損失、労力の浪費、収益の減少の観点から、はるかに大きなコストにつながります。

また、市場に出る新製品の数は増加傾向にあるにもかかわらず、故障率が依然として高いというケースがあります。ある調査によると、今日の市場に出ている消費者向け製品で、購入から 5 年後にも機能しているものは 40% しかないと予想しています。同時に、新製品の故障率が 80% を超えるという見解がほとんどです。

なぜ新製品は、そのような高い率で故障するのでしょうか。一部の製品は、マーケティング活動の不備が原因で、故障しています。たとえば、市場での間違った位置付け、高い価格設定、市場規模の過大評価などです。一方、間違ったアイデア/概念の選択が原因となっている場合もあります。米国の企業では、新製品開発に割り当てられたすべてのリソースのほぼ半分 (46%) が、故障した新製品への対応に費やされている、という見解もあります。その原因は十分な数の設計概念を検討できていなかったことにあるともいえるでしょう。著名な経営戦略家であり作家であるゲイリー・ハーメル (Gary Hamel) 氏は、「1,000 件の新しいアイデアのうち、100 件のみに営利的なメリットがある」と推定します。また、「そのうちの 10 件のみが、開発労力に見合ったもの」で、さらに、「そのうちの 2、3 件のみが、市場での成功につながる」と言っています。まるで、新製品開発は、数当てのゲームみたいなものです。概念チームが評価できるアイデアと概念の数が多いほど、組織が営利的な成功につながる概念を見つける可能性が高くなるのは間違いなさそうです。

画像提供: opensourceway

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