概念データを下流工程で活用し、互換性の欠如による問題に対処する。

概念設計は製品開発プロセスの中でも初期段階のもっとも重要なプロセスであり、通常は簡単なスケッチや手書きの図面、簡易的な 3D モデルから始まります。複数のコンセプトを作成し、それに関する意見や情報の交換、検証、改善作業、再作成が済んだら、設計の特定の条件や要件にもっとも適したコンセプトが選ばれ、詳細設計へと進められます。

しかし 2D 図面、3D モデルにかかわらず、プロセス間の連携の欠如によって、コンセプト データの下流工程での効果的な活用が妨げられることが多々あります。こうした連携の欠如は、工業デザインと機械系詳細設計それぞれの性質が原因である場合があります。両者は目的も、使用するツールも異なります。

工業デザイナーの目的は、アイデアやコンセプトのリアルな視覚的特長を表現する概念設計を迅速に複数作成し、設計要件に合わせてそれを評価することです。柔軟性の高い 2D、3D モデリング ツールを使用することで、工業デザイナーはデザイン性に優れたコンセプト モデルを迅速に作成できます。しかしこのときに設計の拘束条件を念頭に置いておかないと、こうしたモデルの利点が機械設計の段階で失われてしまう可能性があります。

機械設計の段階では、物理・数学的要素や製造可能性、業界標準、顧客要件が重視されるためです。一方エンジニアは、デザイン性だけでなく、性能や製造要件を満たすための厳格な条件のもとで作業を行います。中にはダイレクト モデリング ツールを使用してジオメトリの定義、取り込みを素早く行い、フィーチャーや拘束条件をモデルに組み込む面倒な作業を避ける設計者もいます。こうしたツールは作業時のスピードと柔軟性に優れていますが、エンジニアに必要なのは、設計を変更するとすべての下流工程の関連ジオメトリが自動的に更新されるよう、フィーチャーの拘束、リレーション、依存関係を定義できるツールです。

概念設計と詳細設計という 2 つの開発プロセスで使用されるツール間に互換性が欠如していると、エンジニアリング部門に引き渡された概念設計は MCAD システムで作り直す必要が出てきてしまうこともあります。これでは設計サイクルの貴重な時間が浪費され、エラーが発生したり元の設計意図が損なわれてしまうこともあるでしょう。

「概念設計のトレンド」というテーマで PTC が実施した最近の調査で、「こうした互換性の欠如によって企業の製品開発プロセスにどのような影響が出ているのか」という点についてアンケートを取りました。

「設計ツールの互換性が欠如しているため、概念設計中に設計データを作り直す」という設問に「はい」と答えたのは、回答者の 59 % に上りました。この調査では、「概念設計プロセスが終わった後、コンセプト モデルは下流工程でどう活用されているか」という点についても聞いています。「詳細設計の段階で使用するツールに合わせるため、概念設計のデータを作り直す必要がある」という設問に「はい」と答えたのは、回答者の過半数にあたる 61 % に上りました。設計データの再作成は非効率的であり、エラーが発生しやすい作業です。開発チームの貴重な設計作業時間が浪費され、コストが増大し、設計意図の誤解によるエラーの発生率が高まります。それがやがて下流工程で大きな問題となって現れる場合もあります。

企業はデータの互換性の欠如によるこうした非効率な作業を防ぐ手立てを模索しなければなりません。概念設計の下流工程での活用を妨げているもう一つの要因は、概念設計の段階で多くの企業が複数のベンダーの異なるツールを導入しているということです。

PTC の調査から、アンケートの回答者が所属する企業は 1 ~ 5 社の異なるベンダーの複数のツールを使用していることがわかっています。ベンダーの数が増えれば互換性の問題も一層深刻になります。2 社のベンダーのツールを使用していると答えた回答者は、互換性の問題によってデータを作り直さなければいけない頻度が 3 倍高く、5 社のベンダーのツールを使用している回答者の場合はこれが 7 倍でした。

こうした互換性の問題を回避するためには、製造メーカーは概念設計と詳細設計の両方に適した、CAD データの相互運用性に対応できる設計ツールを選ぶ必要があります。そうしたツールは、スケッチ作成や 2D 詳細製図、ダイレクト モデリング、フィーチャーベースのパラメトリック モデリングなど、複数のモデリング手法に対応できるものでなければいけません。そうすることでエンジニアが各自の CAD システム内でコンセプト モデルを作り直す必要がなくなるほか、各地に分散した製品開発チームが設計データに関するコラボレーションと情報交換を活発に行い、サプライヤや提携パートナーとのデータ共有をより効率的に行えるようになります。つまり、開発サイクルの下流工程でも設計データを活用できるようになるのです。画像提供: Phil Roeder

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