大規模アセンブリの操作

現代の製品は設計、機能の両面から複雑性が増しているため、詳細度の高い製品モデルを用意することが非常に難しくなっています。こうしたモデルはほとんどの場合、設計プロセスを複雑化させる非常に大規模なアセンブリで構成されています。しかしソフトウェア、ハードウェアの両面で技術が進歩したことで、多数の要素や部品を考慮しながら設計を行う際の課題にも対処できるようになっています。

課題
大規模アセンブリが PC の処理能力を圧迫し、こうした巨大なファイルを CAD システムに読み込む際にエンジニアが長い時間待たされる場合もあります。最近実施された業界のアンケート調査では、40 % の回答者が大規模アセンブリの読み込みと操作に過度に時間を取られることが多いと答えています。このような巨大モデルは製品のジオメトリ表現に留まらず、関連する製品データ (メタデータ、仕様、材料特性、製造オプション、概算費用) が多数含まれていることも多いため、実際の製品のデジタル表現となります。そのためエンジニアは、応力、熱、流体、電気機械シミュレーションを、物理プロトタイプを扱うように実行できます。しかし、ソフトウェアの大幅な進歩やワークステーションの処理能力、速度が向上した一方で、特に自動車や重機業界の設計エンジニアは、いまだに同様の問題に頭を悩ませることが多くなっています。10,000 ~ 数十万点に及ぶ部品で構成される大規模アセンブリの場合は、ワークステーションの処理能力をすぐに凌駕してしまいます。CIMdata 社が編纂した新しい技術白書、「CAD Selection Considerations: Product Assemblies」では、ユーザーは応答力の低い CAD ソフトウェアを補完するために次善策を取る場合が多いとの調査結果が出ています。しかしこうした次善策では設計エラーが生じ、製品提供プロセス内で下流工程での問題につながる危険性があります。

ソフトウェア面
ソフトウェア面の問題に関しては、大規模アセンブリの操作を効率化するいくつか進歩が現れています。フィルタリングや選択領域のみの読み込みといったオプションを利用できるようになっています。これにより、コンテキストを提供するデータの一部を読み込み、それを基に迅速に作業を進めたり、読み込み対象を容量、社内 / 社外部品などの条件でフィルタリングしたりできるようになっています。現在ではほとんどの CAD プログラムで、内部コンポーネントの一部を除外したり、詳細度を下げたりして大規模アセンブリを開くオプションを利用することで、メモリの負荷を抑えてモデルの応答性を大幅に高めることができます。これは、アセンブリを視覚的に分析するだけの場合や、外側サーフェスまたは構造を分析するだけの場合に有効です。PTC の Creo Parametric では、CAD の応答性が高いメモリを利用できる 64 ビット Windows OS のおかげもあり、大規模アセンブリのビジュアリゼーション機能が改良されています。また、PTC では、自社のアノテーションおよびビュー機能アプリ、Creo View の軽量ビジュアリゼーション機能を、主要な CAD ラインにも取り入れています。これにより、たとえばモデルの全体像を表示する場合でも、すべてのデータではなく、グラフィックや構造のみが読み込まれることとなります。特定の領域のより詳細なビューを確認するためにズームすると、モデルの該当部分のジオメトリとフィーチャー履歴の読み込みが開始されます。

ハードウェア面
アセンブリが巨大化、複雑化するほど、管理するための処理能力がより多く必要になるため、ワークステーションを作業を進めることができる状態に保つことが重要になってきます。コンピュータの RAM を増強することがその足がかりとなります。ワークステーションの RAM には、CAD アプリケーションの最小要件を上回る容量が必要です。8 ~ 16 GB の容量を確保することをおすすめします。そのほかにも、ハード ドライブやグラフィックス カード バスの速度なども重要です。大部分の CAD プログラムはシングル スレッド式ですが、マルチコア プロセッサで追加される処理能力もやがて重要性が増していく可能性があります。マルチ プロセッサは大規模アセンブリ構造の表示、検索、操作を高速化できますが、マルチ プロセッサを最大限に活用できるソフトウェアが増えるまでは、効果は発揮できません。大規模アセンブリの処理に役立つ戦略はありますが、そのためには、ソフトウェア開発者とハードウェア プロバイダが協力し、現代の複雑化した製品を設計するエンジニアのニーズに対応しなければならないでしょう。

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