CAE 結果の信頼性を高める

CAE ツールを設計の最初期段階で適切に使用すれば、製品のパフォーマンスをデジタルに把握、予測し、高めることができます。また、CAE ソフトウェアを使用すると、より多くの設計コンセプトを検討できるほか、設計サイクル全体を通じて従来型の物理プロトタイプを用いる場合のコストを削減し、十分な情報に基づいた意思決定をより迅速に下せるようになります。最初に登場したころ、コンピュータ支援エンジニアリング (CAE) ツールは、デジタル モデルでの応力や流体力をシミュレートする専門家やアナリストが使用するものでした。解析結果はその後、シミュレーションに基づき、必要な場合に詳細設計を修正する役割を担うエンジニアへと渡されます。しかしエンジニアがモデルを解析できれば、貴重な設計時間を節約し、このツールをより有効に活用できるのはないでしょうか。その答えは「イエス」と言えそうです。ベンダーはエンジニア専用の CAE ツールを導入し始めています。この新しい CAE ソフトウェアはユーザーの CAD ソフトウェアと統合されており、使いやすさが高まっているほか、アナリストの専門用語が減少し、価格も低くなっています。これはすべて、コストの削減と市場投入期間の短縮によって設計プロセスを改善しようと考えている企業のニーズに合わせたものです。理にかなった戦略ですが、ではなぜ、いまだにエンジニアは CAE によって有用な解析結果を得ることに苦戦しているのでしょうか。ソフトウェアの使いやすさを高めることでより多くのエンジニアが使用することになりましたが、それは同時に誤用も招いています。CAD プログラムを使用して非常に特殊な状況での「イエス」、「ノー」という結果を得ることに慣れているエンジニアは、「赤は悪い、緑は良い」という解析結果に過度の信頼を寄せてしまうことが多く、そしてそうした解析結果はほとんどの場合、信頼性が高くありません。ソフトウェアの使用方法を学べば有効な解析結果を取得できるとは限りません。エンジニアが CAE ツールをより有効に活用するための方法を、以下でいくつか見ていきます。

モデリングの問題
エンジニアが CAE を使用する際の問題の多くは、モデルに起因しています。自動車業界でのシミュレーションの活用に特化したヨーロッパのコンソーシアム、Autosim がまとめたレポートによると、エンジニアがシミュレーションを実行するのに要する総時間のうち、80 % はモデルの生成に費やされていると言われています。適切な解析結果を得るには、エンジニアはメッシュ、境界条件、荷重の作成以外にもやらなければならないことがあります。解消する問題の根本を把握するために、解析用のモデルを作成する必要があります。こうした問題の多くはソフトウェアで不適切に定義されているため、解析結果の信頼性が落ちることとなっています。ほかに報告されている問題としては、不適切な境界条件、メッシュが不十分なモデル、未検証の解析結果、適用不能の材料特性などが挙げられます。また、CAE を使用するエンジニアにとっては、適切な入力データを取得することも障害となっている場合が多いようです。エンジニアリング関連の問題が「マルチ フィジックス」な性質を持っており、エントリー レベルの CAE ソフトウェアでは解決できない場合もあります。こうした実際的な問題の多くは、解決するのにその分野の専門家のスキルが必要になる場合もあります。

トレーニングの重要性
エンジニアが適切に CAE ソフトウェアを使用するには、適切なトレーニングが欠かせません。トレーニングの目的は特定のソフトウェア パッケージの使用方法に限定せず、マルチ フィジックスの実用的、理論的な側面を重視したものにする必要があります。受講者に実際の製品を効果的にモデリングする方法を指南する必要もあります。エンジニアがシミュレーション ソフトウェアの機能の基本を理解するまで、特定のソフトウェアに固有の側面を教えることは意味を成しません。ベンダーが提供するトレーニング以外では、International Association for the Engineering Analysis Community (NAFEMS) も良質な CAE トレーニングを提供しています。特定ベンダーに偏らないこの組織は、ヨーロッパとアメリカ全体にトレーニング コースを提供しており、E ラーニング プログラムや、「流行」と「背景」に関するベンチマーク レポートも用意しています。この独立系の E コースでは、初心者向けの実用的・基本的なレベルのセッションから非線形解析、動的有限要素解析まで、あらゆるレベルの FEA 解析を取り扱っています。そのほか、MIT の OpenCourseWare では、自分のペースで進められるオンライン トレーニングを無料で利用できます。「ソリッドの有限要素解析」や「流体 I、II、III」などのコースの講義ノートや課題、教材が用意されています。また、MIT OpenCourseWare のビデオ シリーズ、「ソリッドおよび構造向けの有限要素手法」も有用です。非線形解析ソフトウェアの開発のパイオニアであり、MIT の教授を務めるクラウス・ユルゲン・バス (Klaus-Jürgen Bath) 博士が作成したビデオです。

この投稿の“カテゴリー”: 設計の再定義 、タグ: , , , , 。ブックマークは追加ブックマークにはパーマリンクをどうぞ。.トラックバックは受け付けていませんが、コメントを投稿.

コメントを投稿

あなたのメールは 絶対に 公開されたり共有されたりしません。 *マークは入力必須項目です。

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

次の HTML タグと属性が使用できます: <a href="" title="" rel=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <pre> <q cite=""> <s> <strike> <strong>